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ソニアボーカル教室Blog

ソニアボーカル教室のおしらせやスタッフの声をお届けします。

 3月11日の大震災後、周囲の空気が一変してしまいました。
『周囲の空気』という言い方をしましたが、その-空気-とは私たちが呼吸している物理的な意味での-空気-でもあり、人心、世情などの森羅万象を含めての-空気-という意味ででも。
福島原発の事故のため、大気中にも場所による程度の差はあるものの放射性の汚染物質が拡散され、呼吸をすることにさえ不安を感じるような状態になり、被災地の被害の全容が見えてくるにつれ、復興には気が遠くなるような長く困難な道が予想されるようになってきました。
加えて計画停電による経済活動の停滞・・・、これでもかこれでもかと次から次へと問題が浮上してきます。
今たくさんの人が不安の中にいます。

こんなときに人は歌いたくなるものなのでしょうか?
教室の生徒さん達をみていると二つのタイプの人たちがいるように思えます。
「こんなときだから歌いたい」と思った人たち、「とても歌を歌うような気持ちになれなかった」という人たち。
どちらの人たちも不安だからというところでは一致していました。
そして、「とても歌を歌いたいなどとは思えなかった」という人たちが、震災後にレッスンに来て歌を歌い終わった後、ほとんどの人が一様に「元気になれた!」と驚いたように言っていたのが印象的でした。

歌は人を元気にするチカラがある、ということに少し懐疑的だった私も驚きました。
不安を感じているときに歌いたくなるかどうかは個人差があるようでしたが、歌うと元気になれるということは確かだと思うようになってきました。

でも、この教室に集まっている人たちは極めて歌が好きな人たちばかりですから、このような結論が導き出されるものの、歌が好きでない人たちの集団だったらどのような結論が出るのでしょうか?

さらに被災地の避難所で生活を余儀なくされている人々に思いを馳せ、歌によって勇気づけられたり、癒されたり、元気づけられたりした人がどのくらいいたのだろうかと想像しています。
自閉症の少年が弾くピアノに合わせて歌うことによって、初めて笑顔を取り戻したという人々のことがテレビで報道されていました。
事実としてかなりの人々がひととき救われる思いだっただろうと、その報道に接した私たちにもほっとする思いがありました。
しかし、歌の余韻も消えて現実に戻ったときのことを思えば、歌のチカラでは到底乗り越えることができそうもない苦難が存在するのです。


                                         福和